栄養の不足による疲労

• 炭水化物と脂肪とが体を動かすために必要な燃料です。
• 空気中から呼吸によって取り入れた酸素を用いて、炭水化物や脂肪を燃料としてエネルギーに変換することによって筋肉が動き、山岳サイクリングなどのスポーツが可能になります。
• 燃料である炭水化物や脂肪をきれいに燃焼させるためには、充分な量の酸素が必要になります。

燃料としての機能が、炭水化物と脂肪とでは大分異なっています。

• 朝食を食べないと、体内蓄積量が少ない炭水化物の燃料切れが簡単に生じます。
• その結果、疲労と言う形で運動能力の低下が起きてきます。食事を取らなくても、体内に蓄積された炭水化物によって１〜２時間程度の運動は出来ますので、食事をとることの重要性が見過ごされがちですが、それは確実に影響を及ぼし突然に疲労となって表面化します。
• 特に、脳や神経系統の燃料として利用できるのは炭水化物だけのようですので、炭水化物の燃料切れによる疲労は判断力や思考力の低下となって現れます。非常に危険ですよね。
• 特に山岳サイクリングでは自転車という器械を持ち込んだ登山ですので、平衡感覚などの神経系統の働きはとても重要です。

• 炭水化物の体内蓄積量は少なく、せいぜい1，2時間分の燃料しか体内蓄積されないようです。
• 従って、炭水化物については小まめに補給することが重要です。
• 国際山岳連盟では最低2時間に1回は食べることを薦めているようです。
• 例えば、30分や1時間に一回の休憩ごとに水分を補給するのと同時に炭水化物を補給することが重要です。チョコレートとか、カロリーメイトとかを少しずつ摂るのが良いのではないかと思います。

• 成人が普通のペースで登山をした場合のエネルギー消費量は、空身の場合で体重１�s当たり、1時間に６ｋｃａｌ、もし２０�sのザックを背負っていた場合９ｋｃａｌだそうです。
• 山岳サイクリングの場合、自転車の重さとザックの重さとを考えると大体８ｋｃａｌ程度になるのではないでしょうか。

• 私の場合には、体重が約５５�sですから、次のようになります。

  ５５�s　×　1時間　×　８ｋｃａｌ　＝　４４０ｋｃａｌ

• ご飯お茶碗一杯のエネルギー量は約２５０ｋｃａｌだそうですから、1時間にご飯をお茶碗2杯弱分のエネルギーを消費していることになります。
• 通常の筋肉を動かすエネルギーは炭水化物と脂肪ですから、脂肪がエネルギーになる分を多く出来れば、上記の必要エネルギーの多くは体内に蓄積された脂肪でまかなうことが出来るので上記のエネルギーを全部登山中に補給する必要はありませんが、それにしてもすごいエネルギー消費です。
• 体内に蓄積された脂肪をうまく燃焼させることが出来れば、登山中の補給量は上記の半分から3分の1程度でよいようです。
• 半日を4時間と考えると、ご飯を御茶碗に3杯程度を補給する必要があるということです。

• 歩行速度が速くなるほど、脂肪ではなく炭水化物への依存度が高くなります。
• 脂肪は運動の開始直後には余り燃えず、30分ぐらいたってから良く燃えるようになります。
• 上記2つをあわせて考えると、最初の30分はウォーミングアップのつもりでゆっくりと運動し、徐々にペースを上げていくといったやり方が良いようです。
• そして、定常速度に達した状態でも、ゆっくり、着実に歩くということが重要になります。要するにマイペースで歩くということですね。

まとめとして、次のようなことに気をつけて山岳サイクリング(MTBサイクリング)当日の食事補給をするのが良いと思います。

• 朝食はしっかりとる。
• 日帰りまたは1泊程度の日程の場合、当日の朝食・昼食は炭水化物を中心にした食事とする。
• 半日（午前または午後のそれぞれ）に必要な食料は、ご飯を御茶碗3杯分相当。
• 出発後最初の30分間はウォーミングアップと考えて、軽めの運動にする。
• その後も、歩く(サイクリングする)ペースはマイペースで。
• 登山中(サイクリング中)も小まめに炭水化物を中心とした栄養補給をとる。

こういったことを水分補給に関する注意点とあわせて注意しながら行動をすると、少ない疲労で楽に山岳サイクリング(MTBサイクリング)が楽しめると思います。